お朔日(ついたち)に小豆のお赤飯を炊いてみました
昔のカレンダーは『ついたち』=『新月』だった!
以前関西出身の友人と話していたところ
「こっちではお朔日(ついたち)って毎月一日にはお赤飯を炊くんよ」
と言っていて、
「へえ~、やっぱり関西は昔ながらの伝統が残っていて良いな~」
なんて思っていましたが、母に聞いたら関東にも(全国各地にも)そういった風習があるそうです。
今は新暦の一日にお赤飯を炊くそうですが、本来は和暦の『一日(ついたち)』だったようで、この『ついたち』という言葉、『つきたち』が語源で、『月が起つ』=『新月』=『朔日』なのだとか。
和暦では『一日(ついたち)』は必ず新月なんですね。
昔の人はカレンダーがなくても月を見て
「だいたい今日は三日だな」
とか
「満月だから十五日前後かな」
とか、判断したのでしょうね、こんな感じで……。
え?
絵が下手?
それに関してはお願いですから言及しないでください。
心の中で思うのはOKです✨(爆)
話しを戻しますと『新月』と言えば毎月新たに月が生まれる日なので、お赤飯でお祝いしたそうです。
「うむむ、こうなったら和暦の一日に『おついたち』のお赤飯をなんとしても炊きたい!」
そう思い立ち、さっそくもち米を買いに出かけました。
小豆とササゲ、どちらで炊く?
ひと口に『お赤飯』と言っても、使う豆に二大派閥(?)があります。
『ササゲ派』と『小豆派』です。
(この他にも金時豆などでやっても美味しいです。小豆色のホクホクした豆ならだいたいは赤飯になる気がします、たぶん)
『ササゲお赤飯』と『小豆お赤飯』、一見あまり違いがなさそうですが、よく見ると豆の形も微妙に違う感じがしますし、作ってみると見た目や味に意外と差が出ます。
ササゲは豆が固く潰れにくく、小豆は柔らかく潰れやすく、関東ではササゲの方が一般的かもしれません。
これは江戸時代の武家社会で、煮崩れた豆は『腹が割れる』=『切腹』を連想させることから、煮崩れしにくいササゲのお赤飯が好まれたようです。
食感はつぶつぶ感が際立ち、豆ともち米の違いを楽しめます。
一方で古くから小豆は魔除けとしての効能があると言われており、炊き上がりも柔らかくホクホクとしていて、口の中で豆ともち米が混ざり合う優しい食感です。
今回は小豆を購入して作りましたが、ササゲでも同じレシピで美味しくできます。
蒸し器で作る小豆のお赤飯のレシピ
お赤飯を蒸し器で作るとなるとハードルが高そうですが、少し時間がかかるだけで難しい工程はあまりありません。
蒸し器から出る湯気がかなり熱いので、作る時はやけどをしないようにご注意ください。
ちなみにレシピは写真ではなく微妙な挿絵付きです。
理由はカメラ・センスがゼロを通り越してマイナス500(何を基準にした数値かは自分でも不明)だからです。
材料
- もち米:2合
- 小豆(またはササゲ):50cc
- 塩:小さじ1
- 酒:大さじ1(みりんでもOK)
- ごま塩:好みで適量
- 水:分量外で適量
作り方
- もち米2合を洗って浸水しておきます。
- 小豆50ccをたっぷりの水で沸騰するまで中火で煮て、一度ゆで汁を捨てます。
- 2の小豆をもう一度たっぷりの水で中火よりやや弱めで柔らかくなるまで煮ます。ゆで時間は豆の鮮度や保存状態によって左右され、個人的な感覚だと早くて30分、遅くて1時間くらいかかります。食べてみて「ちょっと硬いかな」くらいで火を止めます。
- この時ゆで汁を50cc取り分けておきます。
- 浸水しておいたもち米を水切りします。
- ボウルにもち米、小豆、残ったゆで汁を入れて混ぜます。もち米がすっかり浸せなかったら水を加えて全部のもち米が浸水するように調整し、一晩置きます。
- 前日取っておいたゆで汁に、水50cc、酒大さじ1、塩小さじ1/2を加え混ぜておきます。この液はお好みで酒をみりんに変えたり、水と酒と塩だけでやったりとアレンジして大丈夫です。
- 沸騰させたセイロの火を止め、固く絞った布巾を敷き、一晩浸水したもち米と小豆を水を切って平らに入れ、布巾でくるみ蓋をして20分ほど蒸します。
- いったん火を止め、布巾の角を二つ持ちあげご飯をひっくり返します。菜箸などを使ってやけどしないようにしてください。
- 6の液を手を使って1/3か1/4ほど満遍なくご飯の表面に振りかけ、布巾でくるみ蓋をして10分ほど蒸します。
- 8と9を3~4回繰り返して更に15分ほど蒸します。食べてみて「ちょっと柔らかいかな」くらいで火を止めます。
- 飯台やボウルに移して少し冷まして出来上がりです。
- お好みでごま塩をかけても美味しく召し上がれます。
蒸し時間や調味料の量はお好みで加減してみてください。
鎮守様へお赤飯を持ってお詣りに…
せっかくなので出来上がったお赤飯を持って鎮守の神様(近所にある小さな無人の神社)へお詣りに行きました。
実は新月の日に神社へお詣りすると良いと言われており、これについてはまた別の記事で書きたいと思います。
社殿の前でお赤飯の蓋を開けた瞬間に「ふわ~」っと風が起こり、「わ~神様喜んでる~」と自分の都合に合わせて解釈しました(笑)
特に信仰が無くても、「今日は新月か~」と自然のリズムを感じながらお赤飯を食べるのも楽しいかもしれません。
持ち帰ったお赤飯はあっという間に胃袋に収まってしまったので、次回は4合くらい炊こうと思います。
以上、和暦の『ついたち』=新月の日にお赤飯を炊いてみた時の一部始終でした。
ここまでお付き合い下さりありがとうございます。
(文・挿絵:和の暮らし管理人)