昔ながらの『ふのり』を使った洗髪に挑戦してみました
天然のシャンプー『ふのり』
突然ですが、何で髪を洗っていますか?
「そりゃシャンプーとかコンディショナーでしょ!」
という方が大半だとは思いますが、中には石鹸やクエン酸、お酢、または湯シャンなどで洗髪している方もいらっしゃるかと思います。
私は子どものころ泊まった宿坊でシラミに感染し、それからシャンプー難民として生きてきました(爆)
去年くらいまでは石鹸とお酢でシャンプーしていたのですが、数か月前、日本の伝統的な暮らしを実践していきたいと思い立った時にふと考えたのです。
「昔の人ってどうやって髪を洗っていたのだろう」
と。
そこで、生きた化石である昔のことをよく知っている母に聞いてみたところ
「曾おばあちゃんは『ふのり』で洗ってたわよ」
との答えが。
ふのりといえばお味噌汁の具としても大好きな食材でしたが、そんなもので髪が洗えるのかと驚くと母が続けて
「自分も小さいころおばあちゃんが着物の洗い張り(※)をする時『ふのり』を付けるを手伝った」
と言うではありませんか。
※着物の縫い付けてある部分の糸をほどいた後、水で洗って板や竹ひごのような道具を使って布をピンと張る洗濯の方法。母は布を張る際にふのりを煮溶かして薄めた液体に浸したそうです。
どうもふのりは汚れたものを洗浄するときに活用されていたようですね。
とりあえず物は試しとさっそくふのり洗髪に挑戦してみることにしました。
食べる『ふのり』とはちょっと違う『板ふのり』
『ふのり』と言うからにはお味噌汁の具である赤黒いひじきのような海藻の乾物を思い浮かべていたのですが、
母曰く、着物の洗い張りや髪を洗うためのふのりは『板ふのり』というふのりの成分を昔ながらの製法で精製して作ったものを使うのだそうです。
(陶芸用とありますが、れっきとした板ふのりでございます)
形は板海苔のような四角くて薄いものですが、色や質感はちょっと棒寒天に似ています。
ただし、この板ふのり、ちょっと試してみるには使うまでの行程に結構手間がかかる上にすぐ腐るそうで、ヘタレ根性の強い私としては購入するのをためらっておりました。
「もっと簡単にとりあえず試せるようなのないかなー。。。」
と探していたところ見つけたのがこちらの粉末ふのりという商品。
はい、気になるのが「工業用」とあるところですよね(笑)
ふのりは昔から左官や陶芸といった伝統工芸の分野で接着剤などに使われていたそうで、こちらの商品は本来そういう用途に使うのだと思います。
しかし、商品説明を読んでみると「食用ではないので食べないこと」との旨は書いてあるものの、髪を洗う時に使っていたと聞いた「板ふのりを粉末状にしたもの」とのことだったので、100%自己責任ですが洗髪に使うことにしました。
今回は色々試してみて一番うまくいったふのりシャンプー&お酢リンスの洗い方をご紹介します。
『ふのり』を使った髪の洗い方
用意するもの
- 粉末ふのり:小さじ1
- 90度くらいのお湯:50ccくらい
- 茶碗のような容器
- 割箸(ふのりをかき混ぜるため)
- 櫛
- 酢:大さじ1(クエン酸でもOK)
- 40度くらいのお湯:洗面器1杯(お酢を薄めるのに使います。40度でやりましたがお好みで調整してください)
下準備
- 粉末ふのり小さじ1を容器に入れます。
- お湯を少しずつ注ぎながらふのりを一気に混ぜます。ダマができないようによく混ぜたほうが使い心地が良いです。
- 分量のお湯を全部混ぜたら完成です。ヘアパックくらいのモッタリした泥状が使いやすかったですが、お好みで調整してください。
洗い方
- 櫛やブラシを使って髪をよくとかしておきます。
- シャワーでよく髪を濡らします。濡らした後、水分が髪に馴染むように櫛でとかします。
- ふのりを手に取りヘアパックをするように髪全体にベットリと塗っていきます。この時できるだけ生え際にも塗るようにします。
- ふのりが髪全体に馴染むように櫛でとかします。
- 櫛でとかしながら髪に馴染んだふのりをしっかり洗い流します。
- 洗面器一杯のお湯に酢を大さじ1入れよく混ぜます。
- 酢を入れたお湯を髪全体にかけ、櫛で馴染ませます。
- シャワーで髪に残った酢を洗い流して、お風呂から上がってからよく乾かします。髪が乾いたらもう一度櫛でよくとかします。
ふのりで洗った髪のその後
さて、ふのり洗髪後の髪の状態はと言うと……。
ありがたいことに、私の髪にはかなり合っている感じでした!
普通のシャンプーや石鹸のように泡立たないので汚れが落ちるか不安ではありましたが、しっかりと皮脂汚れも落ち、お酢リンスとの相性も良いように思います。
特に臭いなどは気になりませんでした。
個人的に洗い上がりは最初はしっとりでしたが、使い続けていくうちにサラサラになっていく感じです。
今回は粉末ふのりでやりましたが、使い切ったら板ふのりでも挑戦する予定なので、その時はまた改めてご紹介します。
以上、ふのりで髪を洗ってみた体験談でした。
ここまでお付き合い下さりありがとうございます!
(文・挿絵:和の暮らし管理人)